外国為替取引について
(1)TTSとTTB
各金融機関は毎日その日のインターバンク市場の相場を基に、その日の顧客との基準相場を決めていますが、一般の人が円を外国通貨に替える際の為替レートと外国通貨を円に替える際の為替レートには開きがあります。外貨建て商品を買う際にはこのレートが使われますのでよく理解しておきましょう。
例えばアメリカ・ドルの場合、その日の
銀行間での中心的なドルの相場(TTM)が1ドル=120円とすると、為替レートは以下のような関係になります。
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TTS ティーティーエス | TTB ティーティービー |
(Telegraphic Transfer Selling=対顧客電信売相場) 顧客のドルの買い値は、TTM の120 円に1 円を加えた1 ドル= 121 円が一般的です。 (銀行側から見ると外貨を売るので“TTS”と呼ぶ。) | (Telegraphic Transfer Buying=対顧客電信買相場) 顧客のドルの売り値は、TTMから1円を引いた1ドル=119円が一般的です。 (銀行側から見て外貨を買うので“TTB”と呼ぶ。) |
この1円の差額は銀行の手数料です。したがって顧客のドル買いレートとドル売りレートには2円の開きがあるわけです。このためアメリカ・ドル建ての金融商品の場合、購入時に比べて2円以上円安ドル高にならないと、為替差損が発生することになります。
但し、TTS・TTB、外貨建て商品を購入・売却する時の為替レートは、金融機関あるいは商品によって異なりますので、外貨建て商品を購入する場合にはその点を含めてチェックしておく必要があります。
なお、私たちが海外旅行をするために日本円をアメリカ・ドルに両替し手にする時、あるいは帰ってきた時にアメリカ・ドルを円に戻す時には、TTSやTTBからさらに2円の差があるのが一般的です。この結果、海外旅行に行く時にドルを買って、帰国して余ったドルを円に両替する際には合計6円の差が生じることになります。
ケース・スタディ
中島さんは海外旅行に行く前に現金20万円分を基準相場120円の時に現金のドルに替えましたが、その現金を全く使わずに1週間後再び円に戻しました。
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円に戻す際に基準相場が同じ120円であっても銀行の外貨買いレートと外貨売りレートの関係から大きく目減りしてしまいます。元々の円価額にするためにはTTMが126円になっていることが必要になります。
キホンの木
インターバンク市場と対顧客市場 外国為替市場は、市場関係者の違いから、「インターバンク市場」と「対顧客市場」に分けられます。インターバンク市場と対顧客市場との関係は、しばしば卸売市場と小売市場の関係に例えられます。
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基本的には、卸売業者にあたる銀行が、小売市場である対顧客市場で商社、輸出入業者などと為替の売買を行い、その結果生じる手持ち外貨の過不足を、卸売市場であるインターバンク市場でほかの銀行と売買することにより調整します。こうして外貨は需要と供給の中を行き来しているのです。
(2)為替の変動要因
為替の変動要因はさまざまです。為替レートの日々の動きも大切ですが、外貨建て商品を購入する場合には、ある程度商品保有期間があることから、大きなトレンドをつかむことが重要です。